kuragedog’s diary

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【ラスアス2】復讐の理想形とエリーの復讐のかたち【考察】

 

先日、ラスト・オブ・アス2をクリアしたタイミングで知り合いと以下のような議論を行って個人的に面白く受け止めたのでメモとして残したいと思います。

 

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復讐とはどうあるべきか、という話です。

 

復讐とは本来美しく儚い行為で、気軽に手を出していい手段ではない。
理由は「連鎖するから」。
それでも人が復讐をする時はどういう時か、それは過去にとらわれて今を生きられない時。復習することにしか意味を見出だせない中で、今を生きようとすることも誰かと共に生きるのも無理。復讐にしか意味を感じられない時、もうそれをやり遂げるしか道はない。
そして負の連鎖を産まずに復讐をやり遂げる為に、一人孤独に行い、達成した後は自ら死ぬ


これが最も完璧な復讐のあり方。報復を行っておいて相手に連鎖を産まないため赦しを乞うのは筋違い。そして復讐が生きる意味になってしまった時点で、何方にせよ成し遂げた後は虚無だ。周りの人間も含めて報復リスクを負い続けるくらいなら、自ら命を立つのがあるべき姿。

 

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というような議論を知り合いとしてて、なるほど深いなぁと。


そしてそれをエリーに照らし合わせてみると、悲しい終わり方のように見えて希望をも見いだせるエンドだなと思ったのです。

だって、ディーナと一緒に仲良く旅してる時点で完全に復讐しか見えてない状態ではない。むしろディーナとの関係に未来への希望も見出してもいたんですよね。

ディーナとJJの家を出ていった時も、結果的に置いていかれたディーナがエリーを見限ったんだろうけど、エリーの方からは別れようとも言ってないし現に最後家に戻ってますからね。ということは過去に囚われてもいるけど、今を生きたいとも思っている中途半端な状態なんですよね。

 

だからこそ過去(ジョエル)の復讐という呪縛から自分を開放できるようになるまでの過程がPart2であり、その結果としてジョエルの過去の行動も理解して許せるようになった。そして復讐の連鎖を断ち切ったエリーは、一人孤独にはなったけど過去に囚われることはもうなく、これからを生きていけるんだと思います。

 

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アビーはエリーよりも時系列的には先に中途半端な状態で復讐を実行した自分を自覚して、負の連鎖を止めました。

妊婦であるメルが殺された後なのにディーナを殺さなかったわけですから。アビーもエリーも結局復讐に縛られていただけで、今生きていることを放棄したわけではなかった。

そうして生き続けていれば時間は経ち、何かが少しづつ変化していつか希望が見出だせてしまうものです。人間て都合が良くて逞しい生き物ですよね。アビーはレヴと出会ってそのことに気づいたのではないでしょうか。

 

…余談ですが今作で最も復讐の闇に囚われてしまったのはトミーです。
最後に登場した彼はアビーを殺すことしかもう見えてませんでしたし、マリアとも距離を置く事になってましたから。トミーはもう復讐の為に生きているも同然で、成し遂げられればその場で自ら死んでもおかしくないくらいになってはいましたが、体の自由もきかず、エリーもいなくなってしまった後では目的は永遠に達成することは叶いません。

トミーが今後ずっとジョエルの亡霊を見続けるのかと思うと、かなり心にくるものがあります。

 

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